身近な物を利用した総合的有害生物管理(IPM)をご提案します。

一般住宅におけるノンケミカル ・レスケミカルな害虫対策の実例

 

2012年8月1日 (水) 第19回 日本環境動物昆虫学会セミナー にて講演しました。

 

なお、このたびの講演に際し、企画段階から構成等までご指導くださいました京都大学 生存圏研究所 吉村 剛 教授、ならびに日本環境動物昆虫学会 高木 良吉 事務局長ならびに理事の諸先生方に深く感謝の意を表します。

 

日本環境動物昆虫学会

 

 はじめに

 

本文で用いる用語、「 ノンケミカル 」と「 レスケミカル 」について定義したいと思います。前者は、化学物質を用いない対策方法を現し、後者は殺虫剤でない化合物を用いた対策方法とします。また、「 防除 」とは、予防+駆除を意味します。これを踏まえて読み進めてください。

 

 一般住宅の害虫対策にはどんな方法があるの?

 

害虫防除には用いる手段によって化学的、生物的、物理的、環境的の4種に区分される対策方法があります。

化学的な方法には各種化学殺虫剤をはじめ特定の昆虫種を誘引する性フェロモンや、遠ざけるハッカやレモンユーカリ、クローブなどの抽出油が該当し、使用する量にもよりますが何といっても即効的な作用と効果が得られるのが化学的方法の大きな特徴と言えます。

 

生物的な方法には身近なクモ、アリ、カマキリなどの天敵昆虫をはじめ、トカゲやヤモリ、カエル、鳥などの天敵動物、または、特定の昆虫類に寄生する細菌やカビなどの天敵微生物が該当します。これは自然との共生をめざす上で必要不可欠な対策方法なのですが、多岐に渡る専門知識と周辺知識が無ければ安定して継続することは難しく、極めて高度な対策方法の一つと言えるでしょう。ただ、この方法を用いて対象とする害虫を制御できた時の達成感は何物にも代えがたいものがあります。

 

物理的な方法には、主として害虫の侵入を阻止する目的で用いられる対策方法です。対象害虫の生態や習性に応じて用いるアイテムは異なりますが、おなじみの網戸や蚊帳による隔離、お湯や氷による温度制御、粘着紙や誘虫灯による補殺、紫外線カットフィルムやLED照明による光制御など比較的身近な物を活用して対策を講じることができます。

 

環境的な方法には、害虫を早期発見できるよう整理整頓したり、害虫が繁殖しないように周辺の環境を整えるという身近で日常的な対策方法です。単純ながら予防という視点では最も重要な手段の一つで、わかっていながらなかなかできない日頃の掃除が実はとても大切なのです。

 

 

 殺虫剤を使わず誰でもできるノンケミカルな害虫対策とは?

 

ダニ,ノミ,トコジラミ,セイヨウシミ,ヒメマルカツオブシムシ・・など住まいに潜む不快な虫は、挙げればキリが無いほどたくさんいます。そんな不快な虫をいとも簡単に取り除くことができるスーパーアイテムが、実は身近にあるのです。それは、どのご家庭にもある『 掃除機 』です。

 

掃除機といっても、高価なものから安価なものまで様々あり、サイクロン式もあれば紙パック式もあり、いったいどれを選んで良いのか分かりませんよね。髪の毛や埃,食品クズなどいわゆるゴミを取り除くだけなら特に選定基準は無いのですが、ダニやノミなど虫を取り除くためにはある一定のクリアすべき選定基準が存在します。それは、吸い込み仕事率フィルター性能です。

 

ダニを効率的に取り除き、殺虫剤に頼ることなく日常的に駆除し続けるためには掃除機の持つ「吸い込み仕事率」がとても重要になります。ダニ駆除に適した掃除機の吸い込み仕事率は少なくとも『 200W以上 』を必要とします。これを下回る性能では吸い込まれたダニがすぐに死滅せずゴミの中で生き残る恐れがあるのです。理想は350W~550Wの比較的強力な吸引力をもつ製品であれば、掃除機をかけた場所に潜むダニの90%以上が吸引除去できるでしょう。

 

この吸い込み仕事率に次いで重要なのが掃除機に採用されているフィルターの気密性や性能です。近年は紙パック式よりもサイクロン式の掃除機の方が何かととり挙げられて注目されていますが、害虫駆除という視点から見た場合は、実は、紙パック式の方が何かと都合の良いことが多いのです。

 

紙パック式には ① ゴミの中の虫を見ることなく、② ゴミに触れることなく、③ ゴミを舞い上がらせることなく、④ いとも簡単に廃棄できるというメリットがあり、紙パックを取り除いた後の本体の清掃メンテナンスも簡単といった継続的に活用できる特長を備えているのです。ここで、吸い込まれた虫が見えないと紙パックを交換する際に「這い出してくるかも・・・!?」という心配がつきまといますが、これには心配ご無用です。なぜなら掃除機の吸引速度は吸い込み仕事率220Wの場合で時速450kmにもなるため、吸い込まれた虫は紙パックに叩きつけられて即死するか強力な吸引による真空状態と急速乾燥により生き残ることは極めて難しいのです。ダニやその他の不快な虫を吸い込んだ後、2~3分程度、掃除機の吸引を稼働させておくだけで紙パックの中の虫はほぼ確実に殺虫できます。

 

最近のサイクロン式掃除機にはゴミの廃棄が比較的清潔にできるものが見受けられますが、やはり、どうしても本体のメンテナンスが課題として残ります。サイクロン式掃除機には紙パック式のそれに比べ吸引力が低下しにくいというメリットがあり、ゆえにダニなどの除去能力も安定して高いと言えます。しかしながら、本体のフィルターが複雑なものが多く、長期間その性能を維持するためには数回の使用ごとにフィルターを清掃する必要があります。まめに手入れして綺麗に保つことに越したことはありませんが、これを継続することはなかなか大変です。

 

  ・・・ ただいま、 つづきを執筆中 ・・・  

 

 

 

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